鉄筋コンクリート造の建物構造は誰におすすめ?メリット・デメリットも解説
建物構造は外部からは確認できないものですが、住み心地や機能性を左右する大切な要素のひとつです。
安易に考えて選ぶと、日常生活において思わぬストレスを感じたり、快適な暮らしを実現できなかったりする恐れがあるでしょう。
そこで今回は、建物構造のひとつである「鉄筋コンクリート造」に着目し、メリットとデメリット、鉄筋コンクリート造の建物がおすすめの方を解説します。
鉄筋コンクリート造の物件をお探しの方は、ぜひ今後の参考にしてみてください。
鉄筋コンクリート造の建物構造にみられるメリット
鉄筋コンクリート造とは、鉄筋を用いた骨組みにコンクリートを流した建物構造のことです。
英語では「Reinforced Concrete(レインフォースド・コンクリート)」、略して「RC造」と呼ばれることもあるでしょう。
鉄筋コンクリート造の建物構造におけるメリットは、主に安全性や快適な住み心地に関する項目が多く挙げられます。
鉄筋コンクリート造のメリット1.倒壊や火災に強い
建物が鉄筋コンクリート造の場合、倒壊や火災による被害の拡大を防ぐことができます。
鉄筋コンクリート造は、地震の力を吸収し分散する構造が特徴で、地震発生時でも建物自体は揺れにくく、全壊を免れる可能性があるでしょう。
使用されるコンクリートは不燃材であり、約1,000度の熱にも耐えることが可能です。
コンクリートの厚さが最低でも7cmあれば、火災発生から延焼までの時間を約1時間遅らせることができ、逃げ遅れを防ぐ効果があります。
木造や軽量鉄骨造と比較して、鉄筋コンクリート造の建物は地震や火災に強いと言えるでしょう。
鉄筋コンクリート造のメリット2.遮音性が高い
鉄筋コンクリート造の建物は、音漏れを防ぐ効果が期待することができます。
鉄筋コンクリート造は遮音性に優れており、室内から外部への音漏れを防ぐだけでなく、屋外や隣室からの音もシャットアウトしやすい特徴があります。
とくに壁の厚さが180~250mmの建物は、木造や軽量鉄骨造に比べて防音性が高く、周囲から聞こえる生活音や話し声などの騒音がほとんど聞こえません。
ただし、防音性が高いとはいえ、掃除機の音や子どもの大声、楽器の演奏音などは音量によって壁を伝って隣室に聞こえることがあるでしょう。
また、建築時に使用されるコンクリートの素材によっても防音性に差が生じるため、内覧時に確認することをおすすめします。
鉄筋コンクリート造のメリット3.デザイン性に優れている
鉄筋コンクリート造の建物では、コンクリートの特徴を活かした内装デザインが可能です。
打ちっぱなしやタイル貼り、吹き付け塗装など、さまざまな内装加工ができ、シンプルでおしゃれな壁面を作ることもできます。
機能性だけでなく内装にもこだわりたい方にとって、コンクリートの壁面を活かせる建物構造は魅力的と言えるでしょう。
また、木造の建物と比較して柱の数が少ないため、鉄筋コンクリート造は室内が広く感じられます。
間取りの自由度が高く、インテリアコーディネートの幅も広がるため、好みに合わせた室内空間を実現しやすいです。
鉄筋コンクリート造のメリット4.快適な温度を保ちやすい
鉄筋コンクリート造の建物は、冷暖房を効率的に使用できます。
鉄筋コンクリート造は気密性に優れており、隙間が少ないため、外気の侵入を防ぎ、室内の空気も外に漏れにくい構造です。
そのため、冷暖房の効きが良く、電気代を無駄にすることなく、夏は涼しく、冬は暖かな空間で快適に過ごすことができるでしょう。
鉄筋コンクリート造の建物構造にみられるデメリット
鉄筋コンクリート造の建物はメリットがある一方、デメリットも複数あるので、注意するようにしましょう。
鉄筋コンクリート造のデメリット1.家賃が高い
鉄筋コンクリート造の建物は、家賃が高額になりやすい点がデメリットです。
木造など他の建物構造と比較すると、鉄筋コンクリート造は建築コストが高くなりやすく、工期も比較的長い傾向にあります。
さらに、仕上げ材に石やタイルなど高価な材料を使用することが、建築コストの上昇要因となります。
建築時にかかるコストが家賃に反映されるため、月々の負担を抑えたい方にとっては大きなデメリットと感じられるでしょう。
鉄筋コンクリート造のデメリット2.結露に弱い
鉄筋コンクリート造の建物は、窓に結露が発生しやすいというデメリットがあります。
鉄筋コンクリート造は基本的に気密性が高く、室内から外部および外部から室内への空気の侵入を防げます。
その一方で、木造などの建物構造よりも結露が発生しやすく、カビの発生や増殖のリスクが高まる点が問題でしょう。
結露を防ぐためには、定期的に窓を開けて換気をしたり、窓に付着した水滴を拭き取るなどの対策が必要となり、これが煩わしく感じることもあります。
なお、2003年に改正された建築基準法では、すべての住宅に24時間対応の換気システムの設置が義務付けられています。
結露やカビによる被害が心配な方は、改正後に建てられた物件を選ぶと安心です。
鉄筋コンクリート造のデメリット3.床が硬い
鉄筋コンクリート造の建物で暮らすには、床の硬さに注意する必要があります。
畳と比べてコンクリートの床は非常に硬く、室内を歩くだけでも体に負担がかかる点がデメリットです。
もし室内で転倒すると、体勢によっては手や腕を床に強く打ち付け、ケガにつながる可能性があります。
万が一の事態を防ぐためにも、ラグやカーペットなど、柔らかな素材の敷物を使用することがおすすめです。
鉄筋コンクリート造の建物構造がおすすめの方
メリットとデメリットを踏まえたうえで、鉄筋コンクリート造の建物をおすすめしたい方は以下のとおりです。
鉄筋コンクリート造がおすすめの方1.安全な暮らしを求める方
安心安全な暮らしを実現したい方には、鉄筋コンクリート造の建物が適しています。
鉄筋コンクリート造は耐震性に優れており、大きな地震に見舞われても倒壊しにくい可能性があります。
木造や軽量鉄骨造と比較して耐火性も高く、隣室から発生した火災に巻き込まれるリスクを軽減でき、安全に避難する時間を確保することが可能です。
万が一の事態が発生しても、自宅や家財道具を失わずに済む可能性が高いです。
安全性を重視したい方や、安心して暮らせる建物を探している方には、鉄筋コンクリート造の建物をおすすめします。
鉄筋コンクリート造がおすすめの方2.静かな環境を求める方
生活環境に静けさを求める方には、鉄筋コンクリート造の建物がおすすめです。
鉄筋コンクリート造は遮音性が高く、外部からの音を防ぐ効果が期待できます。
窓を閉めておけば、周辺道路を歩く人の話し声や車・バイクの走行音、踏切の音など、屋外から漏れ聞こえる音を気にせず快適に過ごせます。
自宅でテレワークをおこないたい方や、住みたいエリアの近くに交通量の多い道路がある方には、鉄筋コンクリート造がとくに適していると言えるでしょう。
まとめ
鉄筋コンクリート造の建物は耐震性をはじめ、耐火性や防音性などに優れている点がメリットと言えるでしょう。
一方、デメリットとしては家賃の高さや結露の発生リスク、床の硬さが挙げられます。
安心安全な暮らしを求める方や静かな生活環境にあこがれる方、交通量の多いエリアに住みたい方には鉄筋コンクリート造の建物がおすすめです。