不動産相続でかかる税金の種類は?計算方法や控除について解説!

不動産相続でかかる税金の種類は?計算方法や控除について解説!

相続時には、取得できる資産だけでなく、かかる税金についてもよく計算しておく必要があります。
不動産の条件や法定相続人の数によっては、計算が複雑になったり、控除を利用したりできたりする場合があるため、確認は大切です。
そこで今回は、不動産の相続でかかる税金の種類と計算方法、控除について解説します。

不動産の相続でかかる税金の種類

不動産の相続でかかる税金の種類

不動産の相続でかかる税金の種類は主に、登録免許税と相続税の2つです。
ここでは、それぞれの税金の概要について解説します。

不動産の相続でかかる税金の種類①登録免許税

不動産を相続すると、所有者が変わるため、名義変更が必要となります。
名義変更をする手続きである「相続登記」にかかる税金が「登録免許税」です。
以前までは、相続時の登記は任意でした。
しかし、2024年の4月1日からは登記が義務化されています。
相続を知ってから3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の罰金が課せられるため、必ずおこなうようにしましょう。
登録免許税の納税は、近くの金融機関に行き、登録免許税納付用の納付書を提出したうえで現金で支払います。
法務局や郵便局、コンビニエンスストアで収入印紙を買い求め、登録免許税納付用台紙に貼り付けて納税することも可能です。
また、オンライン申請の場合は電子納付もできます。

不動産の相続でかかる税金の種類②相続税

相続税とは、相続した財産に対して課せられる税金です。
ただし、相続税には基礎控除が設けられており、相続財産の総額が基礎控除を上回る場合のみ、納税が必要です。
相続税は、自分で計算し、納付書を作成する必要があります。
被相続人が死亡した日の翌日から、10か月以内に申告・納付することが求められています。
遺産分割協議がスムーズに進まない場合、申告・納付期限を過ぎてしまう可能性があるため注意しましょう。
相続税の納税期限を過ぎると、延滞税として「無申告加算税」が加算されます。
納付する税額が50万円までの場合は15%、50万円を超える部分には20%の割合で延滞税が発生します。
延滞税だけでなく、相続人自身の財産も含めた財産の差し押さえがおこなわれるケースもあるため、滞納には注意が必要です。

不動産の相続でかかる税金の計算方法

不動産の相続でかかる税金の計算方法

不動産を相続した場合は、税金を支払うための現金が手元にあるか確認しておくことが大切です。
ここでは、登録免許税と相続税の計算方法について解説します。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算方法は、「固定資産税評価額×0.4%」です。
固定資産税評価額は、土地や建物の価値を評価した金額で、市区町村役場が3年に1度見直しをおこなっています。
現在の評価額を知りたい場合は、役場で「固定資産評価証明書」を閲覧または取得すると、確認可能です。
登録免許税では、固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨てて計算します。
また、計算後の額から100円未満を切り捨てた金額で納付します。

相続税の計算方法

相続税の計算は、不動産を含むすべての相続財産を含めておこなう必要があります。
相続税を算出するためには、以下のステップを踏みます。

●遺産総額を計算する
●基礎控除額を引く
●相続税の総額を計算する
●法定相続人ごとの相続税額を決める
●控除額を引く


不動産の他にも、現金や預金などの財産を相続した場合は、まず総額を計算します。
次に、「3,000万円+600万円×相続人の人数」の計算式で、基礎控除額を求めます。
たとえば、相続人が3人の場合は基礎控除額は4,800万円になり、相続財産の総額が4,800万円以下の場合は相続税はかかりません。
そして、法定相続分の割合通りに分割した場合の相続税の総額を求めます。
相続財産の総額が3,600万円の場合、妻は2分の1を相続します。
1,000万円超え3,000万円以下の相続には15%の税率が課せられ、50万円の控除が適用されるため、税額は220万円です。
同様に、他の相続人についても当てはまる税率に応じて税額を求め、すべての相続人の税額を合計します。
さらに、実際に相続した割合に応じた相続税額を計算します。
すべての相続人の税額が400万円であり、そのうち1人の相続人が全体の財産の40%を相続している場合、その方の相続税額は160万円です。
この額から、各人が適用できる控除を差し引くと、最終的な相続税額の算出が可能です。
なお、不動産の相続税評価額は、主要な市街地の道路の1㎡当たりの価額である「路線価」を用いて計算します。
路線価は公示価格の70~80%程度であることが一般的で、1年に一度更新されます。
路線価を確認したい場合は、国税庁のホームページから調べることが可能です。
また、路線価が定められていない郊外の土地や田畑、山林、原野などは、固定資産税評価額に規定の倍率をかけて算出する倍率方式が求められます。
規定されている倍率についても、国税庁のホームページから確認することができます。

不動産相続でかかる税金に利用できる控除制度は?

不動産相続でかかる税金に利用できる控除制度は?

条件を満たしている場合は、相続税の控除制度を利用すると、大幅な減税が可能です。
ここでは、不動産の相続で利用できる控除制度を3つ解説します。

配偶者控除

配偶者控除とは、故人の配偶者の生活を守るために用意されている控除制度です。
相続財産のうち、課税対象1億6,000万円までは課税されない制度であり、配偶者は多くのケースで非課税になるといえます。
また、課税対象が1億6,000万円を超える場合でも、配偶者の法定相続分までの相続については課税されません。
配偶者控除を受けるための条件は、以下のとおりです。

●戸籍上の配偶者である
●相続税の申告期限までに遺産分割が完了している
●相続税の申告書を税務署に提出する


配偶者控除は戸籍上の配偶者を対象としており、事実婚や内縁の妻などには当てはまらないため注意が必要です。

相次相続控除

相次相続とは、短い期間の間に相続が続くことを指します。
たとえば、祖父が亡くなり父が受け継いだ財産があり、短期間で父も亡くなったため、自分が受け継ぐ場合があります。
この場合、同一の財産に二重の相続税が課せられることになるため、相続税の一定部分を控除する制度が「相次相続控除」です。
相次相続控除は、初めの相続から10年以内に適用され、1年につき10%の割合で控除額が減額されていく仕組みです。
前述の例に当てはめると、祖父の死から2年後に父が亡くなった場合、自分が受けられる控除割合は80%となります。

住宅資金贈与制度

節税対策として、生前贈与を検討することもひとつの手です。
贈与にも贈与税がかかりますが、控除制度を利用すれば、死後にかかる相続税よりも負担が少なくなるケースもあります。
利用できる控除制度のひとつが、住宅資金贈与制度です。
直系尊属からの支援によって住宅の購入や増改築をおこなう場合、受け取った資金の一定額まで贈与額がかからない制度です。
省エネ・耐震性・バリアフリーの住宅では1,000万円、その他の住宅では500万円を上限に控除が受けられます。
また、住宅資金贈与制度は相続税の支払い時にも持ち戻しの対象外となっており、課税対象になりません。
祖父母や父母が相続税の節税対策を検討しており、かつマイホームを購入する予定のある方は積極的にこの制度を活用すると良いでしょう。

まとめ

不動産でかかる主な税金の種類は、登録免許税と相続税です。
登録免許税の税額を知るためには、固定資産税額を調べる必要があり、相続税は法定相続人の人数に応じて基礎控除額を計算する必要があります。
配偶者控除や相次相続控除の条件に当てはまる方は、利用すると大幅な減税となるため、制度についてよく確認しておきましょう。