不動産売却時にかかる税金の種類について!譲渡所得税や節税方法も解説

不動産売却時にかかる税金の種類について!譲渡所得税や節税方法も解説

不動産を売却した際には、利益に応じて各種の税金が課されるため、事前知識が必要です。
なかでも「譲渡所得税」は、金額が大きくなりやすく、適切な対策を取らなければ大きな負担となる可能性も。
そのため、売却前に税金の計算方法や控除の仕組みを理解しておくことで、結果として節税につながることになるのです。
この記事では、不動産売却に伴う税金の種類や計算方法、節税につながるポイントについて解説いたします。

不動産売却にかかる税金の種類

不動産売却にかかる税金の種類

不動産を売却するときは、印紙税、譲渡所得税、住民税、登録免許税、固定資産税・都市計画税の精算が発生します。
課税のタイミングは、「契約時」「売却益確定時」「登記時」「年度課税の精算」と段階ごとに異なります。
そのため、全体像を把握しておくと、手元に残る資金を正確に見積もることができるでしょう。
以下では、不動産売却にかかる税金の種類について解説していきます。

契約時にかかる印紙税

印紙税は、売買契約書に貼付する収入印紙で納める文書課税です。
税額は記載金額によって決まり、1,000万円超5,000万円以下なら2万円、軽減措置の適用期間内(2027年3月31日まで)は1万円で済みます。
また、収入印紙に消印を忘れると過怠税が課されるため、契約時に必ず確認しましょう。
さらに、近年普及している電子契約を利用すると、印紙税が不要になるため、大口取引ではコスト削減効果が大きくなります。
ただし、電子契約に対応できる不動産会社や金融機関は限られるため、導入可否を事前に確認することが大切です。
くわえて、書面契約を二部作成する場合は、各契約書に印紙が必要となるため、部数にも注意してください。
なお、電子保存の場合でも原本保管期間や法的要件が設けられているため、クラウドサービスを利用する際はバックアップ体制を整えておくと安心です。

売却益に課される譲渡所得税の概要

譲渡所得税は、「売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた額」に課税されます。
所有期間5年以下は短期、5年超は長期に分類され、短期は高税率、長期は低税率となります。
また、復興特別所得税を含めた実効税率は、短期39.63%、長期20.315%です。
なお、長期判定は、売却した年の1月1日時点の所有期間で判定されるため、保有年数が境目に近い場合は売却時期を調整するだけで税負担が大幅に変わることがあります。

住民税・登録免許税などのその他税金

譲渡所得には、住民税も加算されます。
また、抵当権抹消登記の登録免許税は通常売主が負担し、不動産1件につき1,000円です。
さらに、売却後に買主がおこなう所有権移転登記や抵当権設定登記の登録免許税は、買主負担が一般的ですが、取引条件で変更することもあります。
なお、固定資産税・都市計画税は引渡し日を基準に日割り精算するのが一般的で、年間負担額が高い物件では日数による精算金が大きくなる点に注意してください。

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不動産売却における譲渡所得税の計算方法

不動産売却における譲渡所得税の計算方法

以下では、譲渡所得税の算出手順を具体的にご説明いたします。

売却益に課される譲渡所得税の概要

譲渡所得の算出方法は、「売却価格-(取得費+譲渡費用)」です。
取得費には、購入価格のほか仲介手数料、リフォーム代、登録免許税などを含められます。
また、譲渡費用には、仲介手数料、測量費、解体費用などが該当します。
さらに、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%が課税されます。
5年を超える場合は、長期譲渡所得となり所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。
くわえて、居住用財産を売却する場合は、最大3,000万円の特別控除があり、譲渡所得を大きく圧縮できます。
なお、10年超所有の居住用物件は軽減税率の特例が適用され、譲渡所得6,000万円以下部分が14.21%、超過部分が20.315%になります。
これらの特例は、確定申告で手続きをおこなう必要があるため、売却年の翌年3月15日までに書類をそろえて提出しましょう。
なお、数値例をシミュレーションすることで、適用可否を判断しやすくなります。

住民税・登録免許税などのその他税金

住民税は、譲渡所得に対して短期9%、長期5%が課され、売却翌年6月に納付通知書が届きます。
登録免許税は、抵当権抹消や住所変更が必要な場合に発生し、納付先は法務局です。
また、負担区分は契約で取り決めますが、抵当権抹消登記は慣例として売主が支払います。
なお、固定資産税・都市計画税の清算方法は地域の商慣行で異なるため、不動産会社に確認しましょう。
その他にも、譲渡益が一定額を超える場合、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料が上がるケースがあるため、所得全体への影響も考慮する必要があります。

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不動産売却にかかる税金を節税するためのコツ

不動産売却にかかる税金を節税するためのコツ

売却前に資料をそろえ、タイミングと特例制度を組み合わせることで税負担を減らせます。
以下では、不動産売却で節税するためのコツについてご紹介していきます。

購入額や経費を正確に記録する

購入時の契約書、領収書、リフォームや仲介の費用証憑を保存すると取得費を正確に計上できます。
また、取得費がわからない場合でも、概算5%を用いるのは不利になることが多いため、書類を確保しておきましょう。
さらに、売却時の仲介手数料や測量費なども、譲渡費用として控除できます。
くわえて、経費は領収書の原本を提出できるよう整理箱やスキャナーで保管しておくと、確定申告時に慌てずに済むでしょう。
取得費の裏付資料が不足している場合は、金融機関の入出金履歴や工事請負契約書の写しなどでも代替証明になるケースがあります。
なお、不明点は早めに税務署の相談窓口へ問い合わせると、必要書類の漏れを減らせます。

売却タイミングを見極めることが重要

所有期間は、売却年の1月1日時点で判定されます。
あと数か月で5年を超える場合は、売却を遅らせるだけで税率が約20ポイント下がります。
また、10年以上居住した物件なら軽減税率の特例が利用可能で、居住期間10年以上などの条件を満たすと、さらに税率が下がることは先述したとおりです。
さらに、住宅ローン控除を利用している場合は、控除残期間との兼ね合いも考慮し、税金と住宅ローン残高のバランスを確認しましょう。
市場動向にも目を向け、価格上昇局面なら早期売却、下落局面なら長期保有を選ぶなど、税率と相場を総合的に判断することが大切です。
なお、特例の適用を急ぐあまり相場より低価格で売却すると、節税分より損失が大きくなる場合もあるため、注意してください。

特例制度を活用して税負担を軽減する

居住用財産の3,000万円特別控除は、自宅を売却した年の翌年に確定申告をおこなうことで適用されます。
相続した空き家の売却には、相続空き家の特別控除があり、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けます。
買換えや交換の場合は、特定の要件を満たすことで課税の繰り延べが可能な特例もあるため、売却前に税理士へ相談することが重要です。
また、複数の特例は併用できる場合があるため、適用条件と必要書類を税理士に確認しておくと安心です。
さらに、不動産の所在地や用途によっては、地方自治体が独自の助成や減税を設けていることもあるため、自治体サイトも確認しておくと意外な節税策が見つかる可能性があります。
なお、税制は毎年見直されるため、最新情報の確認が欠かせます。

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まとめ

不動産売却に伴う税金は種類も多く、なかでも譲渡所得税は金額が大きくなる傾向があるため注意が必要です。
税額は、取得費や譲渡時期によって変動するため、正しい計算方法を理解しておくことが節税につながります。
制度を活用した有利な売却を実現するには、事前の準備と知識の習得が重要なポイントになります。

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富士不動産 メディア編集部

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